草履一筋43年の職人が語る 〜仕事へのこだわり〜

街は夏のイベントで賑わいはじめ、日増しに浴衣姿の人々を見かけることが多くなりましたね。

静かな通りに響く下駄のカランカランという音を聞くと、何となく風流な心持ちがします。

さて、近年では、廉価な外国産の下駄や草履が大量に出回り、昔ながらの草履職人の仕事を見ることは少なくなりました。ましてや、安定した商品ニーズが減った今、こだわりを貫いて、【本当に良いもの】をつくるのは、一層困難なものです。

そんな厳しい現状を知ってはいましたが、今日草履職人さんに話を聞き、
職人の妥協なきこだわり】に、とても感心させられました。

そんな私が学んだ職人の仕事へのこだわりをご紹介します。

 

草履一筋43年の職人が語る【仕事へのこだわり】

【こだわり❶】  草履台

外からは土台は見えませんが、藤原さんの草履台は全て本コルクのみで製作されます。履き心地が全然違う。
左から本コルク、圧縮コルク、ウレタンの台。表面は革などで覆われるため、外からは土台は見えませんが、藤原さんの草履台は全て本コルクのみで製作されます。履き心地が全然違う。
(右から)本コルク、圧縮コルク、ウレタンで作られた草履の土台。この上から革などで覆われるため、外からは土台は見えませんが、藤原さんの草履台は全て本コルクのみで製作されます。
(右から)本コルク、圧縮コルク、ウレタンで作られた草履の土台。見えない部分だけに、安くしようと思えば幾らでもできてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 
写真は、特別に見せていただいた本コルク、圧縮コルク、ウレタンで作られた草履台の内部です。

この上から革などで覆われるため、完成した製品では土台は見えませんが、今回の草履台は全て本コルクのみで製作されます。価格面でいえば、ウレタン、圧縮コルク、本コルクの順に安い。見えない部分だけに、安くしようと思えば幾らでもできてしまうそうです。
しかし、ウレタンは固くてクッション性が低く、また、圧縮コルクは圧縮した分だけ重くなるので、本コルクの台とは履き心地に「差」が生まれるのだそうです。

【こだわり❷】  本革

たとえ仕上がりの見た目は同じでも、職人さんは本革を薦めます。
合皮に比べて、本革は高価になりますが、その違いは使用しているにつれて歴然になるといいます。
まず、合皮は劣化します。たとえ殆ど使用せず箱にしまって置いておいても、空気中の湿気を吸って、表面が剥がれてきてしまいます(写真下)。
一方、本革の場合、適切なお手入れをしていれば、20年、30年履き続けることも可能だとか。

新品の見た目は同じでも、時間が経つと、本革と合皮の差は歴然。
新品の見た目は同じでも、時間が経つと、本革と合皮の差は歴然。
本革は時間が経っても丈夫。メンテナンスすれば、また甦ります。
本革は時間が経っても丈夫。メンテナンスすれば、また甦ります。

 

【こだわり❸】  手縫い

草履や雪駄の底の革(接地面)は、手縫いで固定しています。
最近では接着剤を使用して、底を貼り付けているものが多いそうです。楽ですからね。
しかし、接着剤で固めてしまうと、折角のクッション性が損なわれてしまいます。
一方で、手縫いならば、程よく柔軟性が生まれ、履きやすいのだ、と職人さんは言います。
また、糸で縫いつけてあるので、接着剤で付けた草履より、修理も容易になると。

底面の糸縫い
裏底の革の切れ目(中央)に、手縫いで底を草履台に固定してある。縁についている黄色く付着しているのは、「蝋」。隙間から水が入りにくいよう、防水の役割をしている。

【こだわり❹】  お客様の要望に応える

着物同様、履きものにも様々なこだわりを持つ方が多くいらっしゃいます。他にはない素材や色、花緒と台の組み合わせなど、それらのニーズはまさに多種多様。

しかし、職人さんは、そうした要望にもに可能な限り応えるよう、しっかりとお客様の声を聴いてくれます。履きものだけに携わって幾十年の経験と豊富な知識から、自分の足にぴったり合ったオリジナルの履きものを誂えてくれるのです。

渋染の桐下駄台・クッション入りの台の表、花緒は自身の好きな端切れで製作。

【こだわり❺】  親切なアフターケア

この道43年

たとえ違うお店で誂えたものでも、どうぞ遠慮なくお持ちください。
履きもの屋さんによっては、自分の所で買ってないものは直せないと言われてしまう事もあります。
しかし、こちらの職人さんはお困りの方のために、丁寧にケアしてくれます。
こうした存在がいらっしゃるので、本当に安心して履くことができますよね。

久しぶりにご自分の履きものを取り出してみてください。
お困りの事などございましたら、お店までお連絡を。

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履きものクリニックは 明日7月12日(日)まで!
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