葛布の歴史
葛布の歴史は古く、古墳時代の発掘物の中にも見られます。
科布や藤布と同じく、身の回りの植物を衣服へと応用していた日本特有の原始布のひとつです。
葛布は、平安時代には公家の装束としても好んで取り入れられ、蹴鞠の衣装には必ず葛の袴が着用されていました。
江戸時代になると、葛布は軽くて通気性が良く、また侍の好んだ直線が出せるハリがあることから、袴・裃・陣羽織などにも用いられるほど、高級素材として見なされていたと伝わっています。
村井龍彦と大井川葛布
一時は衰退の一途のすえ消えかけていた葛布。
そこに先代から工場を受け継いだ村井龍彦は、前述のような葛布の歴史や生地の可能性を研究し、「大井川葛布」として新たな葛布を再創作しました。
氏のつくる葛布は、宮古上布の製作にも見られる「砧打ち」が施され、葛元来の光沢に、さらなる上品な艶を与えています。
また、大井川葛布は実に軽く、帯を締めているのを忘れてしまうほどの軽量感なのです。
今、村井は全国各地の古代布製作に携わる職人らとの交流を広げ、彼彼女らとの技術や製作面での交換などを重ねていると伺いました。
そうした交流を通して、また現代に合った葛布の可能性を創作しようとしているように私は感じます。
着用時期
単衣の時期から着用いただけて、夏に近づいたら夏結城や夏大島など夏紬のお着物、盛夏には上布類や麻のお着物に限らず、紬紗などいろいろなお着物と合わせていただけると思います。
基本的にはご自身の体感温度と見た感じが大切だと思います。
これはまだ早いな、と思えばそうです。これはもういい頃かなと思えば、その通りです。
ご自身がどう着たいかが一番大事で、そうすれば自然布も楽しく着こなせてしまいますよ。
講演「日本の古代布」
大井川葛布の作家である村井龍彦が、下記期間当店に来場いたします。
葛布をはじめ、各地の古代布についての知識も深い村井氏。
昨今は大学でも古代布について講演をされています。
静岡から上京してくださり、滅多にない機会ですので、皆様のご参加お待ちしております。
とき:4月9日(金)・10日(土)・11日(日)の3日間、下記時間にて。
1回目|10:30〜11:00
2回目|13:30〜14:00
参加ご希望の方は、お店までお電話ください>> 03-6450-5763