2017/6/27 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 繭が生まれる時間
※この記事には、お蚕様の写真が載っています。虫が苦手な方はご注意ください。
お蚕様が、いよいよ繭をつくり始めました!
糸を引き始めたお蚕様は、熟蚕(じゅくさん)といい、身体があめ色に透き通ります。
回転蔟(かいてんまぶし)という、お蚕様が繭をつくる、集合住宅のような道具に振り分けていきます。
この作業は、上蔟(じょうぞく)作業といいます。
大量のお蚕様を振り分ける作業は、なかなかインパクトの強い画面になりますので、今回写真は割愛にて。
それぞれのお蚕様が、自分が落ち着く場所を探して動き、繭を作り始めます。
繭をつくる途中経過。
繭の中で、一生懸命に糸を吐くお蚕様が透けて見えます。
この光景を見れるのは、養蚕をする者の特権です。
上の写真は、藁蔟(わらまぶし)と言って、昔ながらの道具です。
私たちの養蚕は、こちらも使って、お蚕様に繭を作ってもらいます。
部屋いっぱいに、吊るされた回転蔟。
心配していた、薬害・病害に見舞われることもなく、無事に繭ができています。
耳を澄ますと、微かに「カシュカシュ・・・」とお蚕様が繭を作る音が聞こえます。
「天の虫」と書いて「蚕」
その名前にふさわしいような、はかなげで澄んだ音です。
養蚕所は今、神秘的な時間を迎えています。
白鷹担当
2017/6/21 | やまがた里山養蚕染織研究所 | お蚕様、食べ盛り
※この記事には、お蚕様の画像が含まれています。虫が苦手な方はご注意ください。
お蚕様を迎えてから、約20日。
最後の脱皮を経て、1番の食べ盛りです。
一生分の桑の、約90%を最後の10日前後で食べます!
1反分(1000㎡)の桑も、残りわずかになってきました。
一日分の桑がこちら
白鷹では、約25,000頭のお蚕様を飼育していますが、
1日に約200kgの桑が必要です!
日に日にスタッフの筋肉が、たくましくなっていきます。
ぷくぷくと大きく、立派に育ちました!
背中の模様もくっきりと。
元農家の方から、「良い塩梅に育ったなぁ」とお墨付きをいただきました。
繭をつくりはじめるまで、あと数日。
「よい繭をつくってくれますように」
と思いを込めながら、お蚕様のお世話もラストスパートです!
白鷹担当
2017/6/13 | やまがた里山養蚕染織研究所 | すくすく育つ、お蚕様
※この記事には、お蚕様の写真が載っています。苦手な方はご注意ください。
お蚕様が来て、10日が過ぎました。
桑園の桑の実も色づいて、桑採取の作業の途中、ちょっとつまみ食い。。
深い紫に熟した実は、やさしい甘さでおいしいです。
最初は1日に、桑を数kgあたえる程度だったお蚕様。
1日60〜70キロぺろりと食べるくらい成長しました。
ひと桑与えることに、目に見えてみるみる大きくなっていくので、
その成長が楽しみで、桑を与える私たちも一層気持ちが入ります。
10日前と比べると、その成長の早さがわかります!
平年より少し寒い日が多い白鷹町。
寒さに負けず、お蚕様はすくすくと育っています。
白鷹担当
2017/6/ 4 | やまがた里山養蚕染織研究所 | お蚕様をお迎えしました
※今回の記事では、お蚕様の写真をのせています。虫が苦手な方はご注意ください。
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6月に入り、急に気温が落ち込んだ白鷹。
季節はずれの寒空の中、25,000頭のお蚕様がやってきました!
お蚕様は、2回目の脱皮に入る直前に運ばれてきます。
最初のお世話は、蚕座に広げ、部屋を暖め、脱皮を待つことです・・・
※お蚕様は、卵から孵って繭をつくるまでに、4回脱皮します。
卵→1齢期→眠・脱皮1→2齢期→眠・脱皮2→3齢期→眠・脱皮3→4齢期→眠・脱皮4→5齢期→熟蚕・繭
1齢期~2・3齢期までは、「稚蚕(ちさん)」と呼ばれ、
とてもデリケートなので、専門の農家さんで育てていただきます。
・・・脱皮が終わったら、いよいよ桑付けです!
タイミングの見極めが大切なので、地元の元養蚕農家さんから、確認していただきながら行います。
すべてのお蚕様が均等に食べれるよう、丁寧に桑の葉をかけていきます。
脱皮明けで1日ぶりの桑なので、あっと言う間に桑の葉は無くなっていきます!!
まだまだ小さいお蚕様。
これから繭ができるまでの一ヶ月。
お蚕様が気持ちよく成長できるよう、お世話をしていきます!
白鷹担当
2017/6/ 1 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 都内小学校で養蚕体験、白鷹から稚蚕届ける
5月末日早朝、東京都内の小学校へ、
卵から孵ってまもないお蚕を届けてきました。
<山形から大事にリレーされてきたお蚕>
その箱の中には、体長3ミリほどしかない約1000頭の稚蚕たち。
はるばる山形県白鷹町から、手渡しのリレーで東京までやってきたのです。
まだ生まれたばかりの稚蚕ですから、刺激を与えないよう、
研究所や社長の手まで借りて、慎重に運ばれてきました。
実はこのお蚕、白鷹町で養蚕指導をしてくださる新野さんから譲り受けたもの。
今回東京の学校での養蚕体験をしたいと話を持ちかけたところ、快くご協力していただいたお蚕です。
通常私たちが養蚕をするときは、蚕種飼育所で3齢期まで育てられた蚕しか手に入りません。
しかし、今回はせっかく授業で観察できるなら卵から観察したいという要望を受け、
そこで新野さんにご相談したところ、新野さんご自身で育てようとしていたお蚕*を譲ってくださいました。
ちなみに、当初100頭ほどお願いしていましたが、それでは少ないからと1000頭近くも下さいました。
(*5月下旬からの急激な気温上昇により、予定より早く卵から孵ってしまったので、今回は稚蚕を届けました。)
ここまでは良いものの、何分デリケートなお蚕。
農薬や細菌ですぐに死んでしまいます。
白鷹に比べたら、最適とは言えない東京の環境で無事に育つだろうか…という心配をよそに、
お蚕たちは、ここ大都会の真ん中でも、小さな体で必死に桑を食べていました。
ともかく元気に育つことを祈ります。
お蚕を受け渡した直後の理科の授業では、蚕のスケッチをしたそうです。
あとから生徒の反応を伺ったところ、(意外にも!?)「家で飼いたい」という生徒が多かったとのこと。
都会の子供だからと、ほとんど嫌がられるかなと若干の不安もありましたが、ひとまず安堵。。
たくさんある理科の授業内容で言えば、単なる観察課題の一つかもしれませんが、
おそらく彼・彼女たちが大人になっても、「お蚕を飼った」記憶は、強く遺ると思います。
実際、理科の授業は好きじゃなかった私も、「カイコを飼った」記憶だけは鮮明に覚えています。
生徒たちには、蚕の不思議な生態観察をきっかけに、
絹や着物の素晴らしさ、日本での養蚕の歴史や現状、蚕の持つ可能性などなど
たとえ今でなくても、いつか興味を持ってくれる人が出てくれたなら…と欲張りな希望を抱いています。
もしそうなったなら、それは私たちにとってこの上ない喜びです。
今回お蚕たちを届けた事が、国産蚕を未来につないだ「種蒔き」だったと言える日が来ることを願って、
引きつづきお蚕の成長を見守ります。
<幼稚舎校門前。蚕の成長を願う。>