2010/12/15 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 工房便り12月 茜と胡桃の染色
師走ですね。
寒さも一段と厳しくなってまいりました。
上の写真の糸はグレーぽいのは胡桃で染めた糸で、赤っぽいのは茜で染めた糸です。
奥の淡いベージュのものも胡桃で染めていますが、媒染の仕方が違うんです。
染め上がった糸を見るのは本当に楽しみです。
自然の恵みの自然の色は、ずっと見ていても人を疲れさせません。
こちらの写真は
織り始める前に、千本以上の糸を一本ずつ綜絖の穴に通していきます綜絖通しという作業 の途中です。
綜絖とはこの縦に伸びる針金のようなものですが、そこに1本1本糸を通していくのが綜絖通しです。
非常に細かい作業ですし、間違えたらそれはいわゆるB反になってしまうわけですので神経を使う作業です。
何年も織り続けている伊藤さんはたいしたことないって顔でお話してくれましたが、長年の経験ありきの余裕ですね。
紬って1つ1つに時間と手間がかかっています。
だからこそあんなに美しい紬が出来上がるんですね。
愛情をいっぱい受けて出来上がった反物は、着た時もやわらかく、温かく包み込んでくれるものではないでしょうか?本当に手仕事って凄いです。
2010/11/30 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 工房便り11月 桜の落ち葉で染色
秋も深まり、冬がやってきました。
染織工芸は、毎日機を織る音が聞こえます。
自然の植物で染めた糸を干す風景。
とても美しいものです。
山形の紬を織る織り子さん達の
愛情をたっぷり受けて
とってもきれいな色に染まります。
そのきれいな糸でゆっくりじっくり
素敵な着物を織っていきます。
時間はかかりますが、山形らしい優しくて温かい風合いの紬になるように、願いを込めて作ります。
季節はもう冬
桜の葉っぱもすっかり落ちてしまいました。
そこで
赤くきれいに染まった桜の葉っぱを拾って染色するようです。
たくさん葉っぱを拾って水につけておくのですが
しばらく時間をおくと、このようなワインのような深い色がでてきました。とっても良い色がでましたので、糸を染めるのが楽しみになりますね。
あと3ヶ月熟成させて染色します。
その頃に桜の葉っぱで染めた糸を紹介していきますね!
2010/10/12 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 工房便り 10月 臭木の染色
山形の小立という場所にある染色工芸とう場所でとみひろの山形紬は作られています。中心部からは少し離れますが山が近くに見えて、とても気持ちのいい場所です。
今織っているのは、清々しい白と淡いブルーの着尺です。
この白い糸は、真っ白に見えますがタマネギの皮でうっすらと染めております。
淡い青の糸は、臭木という木になる青い実で染めました。
臭木とは下の写真のような植物です。
ブルーべりーのような色合いの実です。 葉のほうは名前のとおり特異なにおいがありますが、しばらくすると不思議なくらいに臭いを感じなくなる。果実は鮮やかな空色に染めることができ、赤いがくからは鉄媒染で渋い灰色の染め上がりになります。
そして、濃い青は生葉の藍を使って染めた糸です。
この3色を交互に織り上げていきます。
自然な色だからこその優しい色になりました。
季節の草木をとって、時間をかけて糸を染め、時間をかけてじっくりと織り上げていきます。
手間はかかりますが、染料では出せない色の独特な表情をお楽しみいただければと思います。
2010/9/22 | やまがた里山養蚕染織研究所 | 工房便りを始めました
染織工芸では、職人自らが糸の材料を採取し、染めから手織りまで一本一本全てを手作業で仕上げております。四季の変化に富んだ山形には、染めの原料となる素材(桜、梅、椿、藍などの草木から紅花、ラ・フランス、さくらんぼ、林檎など)が数多くあります。それらの原料で糸を先染めし、一本一本、丁寧に織り上げていきます。織物からは草木の香りがほんのり漂い、紬が持つ優しい風合いと相俟って、温もりある逸品へと仕上がっています。